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このままずっと一緒に

 

今日は、俺とガッシュ、恵さんとティオの4人で、山の小さなキャンプ場に2泊3日でやって来た。

このキャンプのためだけに、恵さんはかなりスケジュールをつめてくれたらしい。

俺はこのキャンプで、恵さんに告白しようと決意してやってきた。

それが、このキャンプでの俺の最大の目的だ。

キャンプと言っても、泊まるのは小さなバンガローで、料理とかそういう面を除けば何でも揃っている様な所だ。

今回のために、俺は料理がうまくなるように練習した。

おかげで、手には火傷の箇所がたくさんあり、切り傷も多かった。

包帯は、ほぼ手全体を覆っている。

行く途中のバスで、恵さんがそんな俺の手を見て聞いた。

「清麿君、どうしたのその手?」

俺は、何事も無かったかのように振舞いたかったが、ガッシュが全て暴露してしまった。

「清麿は今日のために張り切って料理の練習をしていたのだ。」

「そのときの失敗のせいで傷だらけなのだ。」

恵さんは、心配そうな顔で俺に言った。

「料理だったら私がやってあげるのに・・・。」

俺は思わず赤面し、恵さんに言った。

「恵さんにばかり、苦労をかけたらまずいから。」

恵さんの顔がそのとき赤くなったような気がしたが、これはおそらく俺の見間違いだろう。

そうでもないと、恵さんも俺のことが好きなんじゃないのかと期待してしまう。

そんな勝手な妄想はいけないと思うから。

その事は置いといて。

本日のメインイベントは、何と言っても登山なのだ。

恵さんと一緒に、こういうことの出来る時間が俺には嬉しかった。

今日は山に登って頂上へ行き、降りてきたらそのまま夕ご飯という予定だ。

山道の途中で、かなり下の方まで見える所に差し掛かった。

恵さんがおびえた表情で言った。

「なんだか怖いよ、清麿君。」

俺はそんな恵さんの手を握り、さり気なく言った。

「大丈夫ですよ恵さん、こうしていれば落ちる心配も無いです。」

恵さんは、俺に見えないように顔を隠してうなずいた。

どうしてここまで俺に顔を見えなくするのだろう?

自分の素顔を俺に見られるのがそんなに嫌なのだろうか?

今はその事を気にせず、恵さんのペースに合わせてゆっくり登って行った。

ガッシュは、こんな高さ位へでもないと言うような歩き方で登っている。

ティオは高さにおびえながら、恵さんのスカートを掴んでいる。

今の俺たちの歩いている順番は、ガッシュ、俺と恵さん、ティオ、と言う順だった。

頂上についた頃には、もう夕方の4時だった。

昼の1時から登り始めて、3時間かけて頂上まで登った。

俺とガッシュはともかく、恵さんとティオの疲労は限界に達していた。

俺は、その場で30分間休憩を取る事にした。

おやつ替わりに、恵さんは手作りのクッキーを持ってきてくれた。

甘くておいしかった。

俺の恋は、クッキーのように甘い関係まで行く事は出来ないだろう。

どうしても、恵さんに対する気持ちに嘘をつけない。

そんな事を思っているうちに、あっという間に30分が過ぎた。

これから下山だ、と言うときに急に雲行きが悪くなり、雨が降り出した。

俺たちは、とりあえず平常心を保ったまま下山する。

ちょうど中間地点辺りまで達したところで、恵さんが足を滑らせて、登山道を外れた斜面を転がり落ちた。

俺はあわてて恵さんが転がり落ちたところを見た。

恵さんは気を失ったらしく、恵さんがいるあたりの近くには、小さな山小屋が見えた。

俺はガッシュにバンガローの鍵を渡し、ガッシュとティオに言った。

「ガッシュ、ティオ、お前達は先に下山してバンガローで待っていろ、鍵は渡しておくぞ。」

ガッシュが俺に聞いた。

「清麿はどうするのだ?」

俺はガッシュに言った。

「恵さんを助けに行く、明日の昼までには必ず戻る。」

「もし今夜、俺が戻らなかったら、俺の荷物の中にレトルトのカレーがある。」

「それを晩飯代わりに食え。」

そう言うと俺は、斜面をゆっくりすべるように降りた。

斜面はそれほど急ではなかったが、雨のせいで結構滑りやすくなっていた。

俺は、斜面の下まで降りると、恵さんのそばによって、怪我が無いかどうかを確かめる。

特に目立った外傷は無く、軽いすり傷があった程度だった。

俺は恵さんを抱えて山小屋の中に入った。

すぐに俺は、山小屋にあったランプに火をつけた。

その山小屋は、今は使われていないような状況だったが、一応毛布くらいは置いてあった。

俺は恵さんのすり傷のところにバンソウコウを貼り、毛布をかぶせた。

とりあえず、恵さんが起きた時のために、荷物の中に入れて置いたお茶を沸かした。

登山の際に持ってきた荷物は、他の誰よりも多く持ってきた。

どんな非常事態が起こるかもわからないから。

恵さんが目を覚まし、どんな状況なのかわからないようだったので、俺に聞いた。

「清麿君、どうして私たちここにいるの?」

俺は事のいきさつを話す。

「恵さんが足を滑らせてここに落ちてしまって、俺は恵さんを助けに降りてきました。」

「そこで、近くにあったこの小さな山小屋に、恵さんを抱えて連れて来ました。」

「ガッシュ達は、既に下山させているので心配は要りません。」

恵さんが、その時顔を赤くしていたのがよくわかった。

恵さんが俺に言った。

「ありがとう・・・、清麿君・・・。」

すると、恵さんが突然くしゃみをした。

恵さんの体に触れてみると、どんどん体温が下がっていく。

俺は恵さんに、自分の着ていた上着をかけた。

しかし、恵さんの体温の低下は、その程度じゃ止められなかった。

このままでは、恵さんが風邪をひいてしまう。

俺がどうしたら良いのか迷ったときに、恵さんが言った。

「人肌。」

俺は何の事だか理解できなかったので、恵さんに聞いた。

「人肌って、どういうことですか?」

恵さんは、凍えながら俺に言った。

「清麿君、私、前に冷えた人間を暖めるには人肌、つまり人間の体温が一番良いって聞いたことがあるの。」

「もし今、これしか方法が無いんだったら、この方法をやってくれる?」

俺は迷った。

この方法を実践すると言う事は、俺と恵さんの素肌が直接触れ合う事になる。

少し嬉しい様な気もするが、恵さんに対して悪い印象を与えてしまうのかどうかが心配だった。

俺は恵さんに聞いてみた。

「恵さんにとって、俺みたいな人間の素肌と接触する事はまずいんじゃないんですか?」

恵さんは、凍えながら俺に言った。

「私、清麿君のことが好き。」

俺は突然の言葉に驚いた。

「えっ?」

恵さんは、体は凍えているはずなのに、顔を赤面させて言った。

「私は清麿君が好きなの、だから、清麿君の素肌と触れ合う事なんか全然気にしないよ。」

俺は、決断した。

今の俺に出来る事は、恵さんの気持ちにこたえて恵さんを暖めながらそばにいる。

それだけだった。

俺も、自分の思いを伝える。

「俺も、恵さんが好きです。」

それを聞いた恵さんは、毛布で隠しながら、自分の着ていた上半身の服を脱いだ。

俺はさっき自分の服を恵さんに着せたので、既に上半身裸の状態だった。

俺は、そのまま恵さんと同じ毛布の中に入り、恵さんをそっと抱きしめて、恵さんの体を暖めた。

しかし、こういうことにも結構技術を使う。

人肌で恵さんを暖めるだけなのに、恵さんの体にあまりベタベタ触り過ぎない様に気をつけた。

恵さんだって立派な女の子だから。

俺みたいな人間がベタベタ触ったら、恵さんに申し訳ない。

雨の中で、とんだハプニングで恋人同士になった俺たちの関係とは、現状ではその程度だった。

でも、明日になればきっと、もっと良い恋人に慣れそうな気がする。

今はただ、こうして恵さんの体を暖めることしか出来ないけれど。

明日になって、今日あったことは良い思い出になっていると思う。

恵さんが俺に言った。

「このまま、ずっと一緒にいられたら良いのにね。」

俺は、ある意味では嬉しい言葉だったが、ある意味では嫌な言葉だった。

このまま一緒にいられれば良い、と言う事自体は嬉しい。

しかし、こんな山小屋にずっといるのはさすがに嫌だった。

そんな事を考えていると、恵さんが俺の肩に頭を置いて言った。

「暖かい・・・、ありがとう清麿君。」

しばらくすると、恵さんは眠ってしまった。

俺は、恵さんの綺麗な寝顔を見てすごくドキドキしている。

1時間くらい経つと、俺の方もさすがに眠くなってきたので、そのまま眠りについた。

目が覚めた頃には、もう朝だった。

山小屋の周りには、木が生い茂っていたので朝日はよく見えなかったが、僅かに差し込む光がとてもまぶしかった。

恵さんが目を覚ますと、いきなり俺にキスしてきた。

そして、唇を外して言った。

「昨夜は、ありがとう。」

俺は突然キスされたので、少しの間、頭の中が空になってしまったが、どういう状況か思い出して言った。

「いいんですよ、それが俺の出来た唯一の事ですから。」

恵さんは、完全に顔を赤くしていた。

最初は風邪をひいてしまったのかと、心配してしまったが、そうではなかった。

恵さんが言った。

「昨日は私、突然告白しちゃったね。」

「結構気が動転していたけど、私の気持ちは本当だから。」

「私は、清麿君が大好きだから。」

それを聞いた俺は恵さんに言った。

「わかってますよ、恵さんは嘘であんな事を言う人じゃないですから。」

そして、俺は恵さんと本日2度目のキスをした。

最も、1回目は一方的にやられたが。

恵さんが俺に言った。

「清麿君が先に毛布から出て、私が着替え終わるまでしばらくこっちは見ないでね。」

俺は、そんな事はわかりきっている。

少しでも見てしまえば、恵さんに何をされるかわからない。

俺が毛布から離れ、しばらくすると、恵さんが言った。

「着替え、終わったよ。」

俺も、この間に自分の着替えを済ませていた。

俺は、とりあえず恵さんにバンガローの方まで戻るように言った。

そして、山小屋を後にした俺たちは、結構時間はかかったが、無事にバンガローのあるキャンプ場にたどり着いた。

ガッシュ達が、心配そうな顔で俺たちのほうに駆け寄ってきた。

ガッシュが俺に聞いた。

「清麿、大丈夫だったか?」

俺はあった事をそのまま言えるはずも無いが、とりあえず元気だった事を伝える。

「勿論だ。」

ティオが恵さんにあることを聞いていた。

その事はあまりにも大きな声だったので俺にもよく聞こえた。

「恵、清麿に何かされなかった?」

当然、恵さんも何も無かったかのようにふるまったが、ティオがあまりにも深く尋問したため、その全てを話してしまった。

全てを知ったティオはものすごく驚いていた。

「えぇ〜〜〜〜〜!!」

「恵と清麿は昨日恋人になったばかりで、もう一緒に寝るなんて事までしたの!!」

恵さんは赤面し、大慌てでティオの口をふさいだ。

とりあえず恵さんは事のいきさつを説明し、ティオを落ち着かせた。

ティオも落ち着きを取り戻して俺に聞いた。

「清麿、本当に昨日恵と一緒に寝たの?」

俺は思わず顔を赤くした。

そして、黙ったままうなずいた。

しかし、その雰囲気を壊したのはガッシュだった。

「清麿、何か食べたいのだ、朝から何も食べてないのだ。」

そういえば、もう正午だった。

俺は、とりあえず、練習の成果を見せるために支度に移った。

すると、恵さんがティオの魔本を持ち出してきた。

俺は魔物が襲ってきたのかと周りを見渡すが何もいない。

恵さんが言った。

「昨日のお礼をさせて。」

すると、恵さんはサイフォジオを唱えて俺に向けて放った。

あっという間に俺の料理の練習のときに負った傷が治っていった。

俺は恵さんにお礼を言う。

「ありがとう、恵さん。」

俺は張り切って昼食の支度をした。

途中で恵さんがやって来て言った。

「私にもやらせて。」

俺は最初は断るつもりだった。

「俺1人で十分ですよ。」

すると、恵さんが言った。

「清麿君ばかりがんばっているから手伝いたいの、それに、少しでも長い時間、清麿君のそばに居たいから。」

その言葉に心を打たれた俺は、恵さんに手伝ってもらう事にした。

料理の途中で、何度も俺と恵さんの手が触れ合う。

その度に俺たちは赤くなる。

そして、その度にティオに冷やかされる。

恵さんがいろいろと手を加えてくれたおかげか、料理の味は最高だった。

その夜はとても星空が綺麗だった。

ガッシュの持ってきた花火を4人で楽しむ。

今日はなぜかとても短く、恵さんをいつも以上に近くに感じる。

こうして花火をしている時間も、恵さんは俺の隣にいる。

ガッシュたちが寝静まり、俺も寝ようと思ったが眠れない。

仕方が無いので星でも眺めようと思ったが、その時に恵さんの靴が無い事に気付いた。

俺は恵さんを探しに外へ出た。

外に出てみると、恵さんは1人で星を見ていた。

俺はひとまず安心し、恵さんに聞いた。

「どうしたんですか?」

恵さんが答えた。

「眠れなくて、星でも見ようかなぁって思ったの。」

俺とまったく同じ事を考えていた。

俺は恵さんを誘う。

「じゃあ一緒に見ませんか?」

恵さんは素直にうなずいて答えた。

「うん・・・。」

俺は恵さんの肩に手を置き、空を見た。

恵さんが俺に言った。

「綺麗だね。」

俺は恵さんに言った。

「はい、でも恵さんも綺麗ですよ。」

恵さんは、俺の顔を自分の顔に向けた。

そして目をつぶり、何かを待っている様子を見せた。

俺はその誘いどおり、恵さんに口付ける。

星空の下で、恵さんと一緒にしあわせな時間を過ごした。

翌日、目を覚ましたときに聞こえたのはティオの悲鳴だった。

「きゃあぁぁぁぁ!!」

恵さんがティオに聞いた。

「どうしたの、ティオ?」

ティオが、腰を抜かした状態で恵さんに聞いた。

「恵、上の方の服着てないの?」

恵さんは寝ぼけた表情でティオに答える。

「うん、昨日は清麿君とこの格好で眠ったから。」

そう、初日に眠ったのと同じような情景で俺と恵さんは昨日も眠った。

初日と違うところは、ベッドであったというところと、山小屋でなかったところくらいだ。

恵さんがこの格好で寝たいと望んだから、俺はただその状況に流されただけだった。

恵さんは、あくびをしてティオに言った。

「ティオ、もうちょっとだけ清麿君と寝かせて。」

そう言うと、再び俺に寄りかかって眠ってしまった。

ティオのまなざしが俺に向かっている。

ティオが俺に対して言った。

「清麿、恵のアレ、絶対に見ちゃダメよ。」

俺は当たり前の顔をして言った。

「そんな事すれば、恵さんとティオに同時に殺されるからやんないよ。」

3日目は、このようなハプニングもあったが無事にキャンプの全日程は終了した。

今は帰りのバスの中だ。

恵さんと俺は、寄りかかって座っている。

ティオとガッシュは今眠っている。

恵さんが眠たそうな顔で俺に聞いた。

「清麿君、私も眠って良いかな?」

俺は答える。

「いいですよ、ついたら起こしてあげますから。」

恵さんが俺に言った。

「じゃあ、私が眠っている間は私をしっかり支えててね。」

そう言うと、恵さんは眠ってしまった。

よっぽど疲れが出たんだろう。

俺は、恵さんを腕でしっかりと支える。

恵さんがつぶやいた。

「清麿君・・・、大好きだよ。」

俺は驚いて恵さんの方を見る。

しかし恵さんは眠っている。

俺の名を寝言で呼んだようだ。

今の恵さんの寝顔はとても嬉しそうだ。

俺も今、こうしていられる時間がとても嬉しい。

明日になれば、俺には学校があるし、恵さんには仕事がある。

だけど、俺と恵さんが恋人であると言う事は代わらない。

それに、いつかきっと恵さんと2人だけで一緒にいられるときは来ると思う。

でも今の俺は、恵さんとこのままずっと一緒にいたかった。

 

このままずっと一緒に

End

あとがき

1000hitのリクエストで、カオスさんからのキヨメグがなるべくラブラブというお題で受けました。

これだけ書くのに3日もかけてしまいました。

キヨメグのラブラブと言うのは案外難しかったです。

微妙に15禁のような感じになってしまいました。(懺悔)

それでは、また次のキリ番小説でお会いしましょう。

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