禁じられた恋

 

今日、俺の携帯に1通のメールが届いた。

メールの相手は恵さんで、内容は。

「明日の夕方の5時に少しだけ時間あるかな、もし良かったら話があるんだけど。」

と言うものだった。

俺が了解のメールを送ると、返信メールが来て。

「じゃあ、いつもの場所に来てね。」

そこにはそう書かれていた。

いつもの場所と言うのは、モチノキ町の駅から歩いて10分ほどの所にある川原のことで、俺と恵さんが互いの悩みを打ち明けるときにはいつもここを選んだ。

あそこの川原なら、夕日の眺めがすごく綺麗なのだ。

その綺麗な夕日を見ると、どんなに嫌な事でも吹き飛んでいきそうな気がする。

恵さんは、俺には隠し事をせずになんでも教えてくれる。

新曲の発表などについても、世間に公開される前に教えてくれたり、歌ってくれたりもする。

俺は今、そんな恵さんに恋心を抱いている。

アイドルと一般人の距離の差は、天と地のように広い。

本来ならそんな存在のはずなのだが、魔界の王を目指すパートナーと言う存在が、その距離を一気に縮めていた。

そして、今の関係がある。

恋人には程遠いが、恵さんのそばにいる事もできる。

一般人の俺にとって、それはこれ以上に無い特権だ。

もちろん、こんな事は周りの人間には内緒の事だ。

俺が今回気になったのは、恵さんが話したいと言う内容だ。

恵さんが何を言いたいのか、いつも以上に気になる。

恵さんが俺に話してくれる内容は合うたびに違う。

戦いの事、学校生活の事、アイドルとしての事、さまざまな話題で盛り上がれる。

俺は、恵さんへの恋心のあまり、明日会えるのが待ち遠しい。

そして決めた。

ふられても構わない、俺は明日恵さんに告白する。

アイドルとしてだけではなく、女の子に告白する機会はこれが最初で最後になると思う。

俺は、恵さん以外の人を好きになれない。

今はそんな感情だった。

しかし、こんな恋は実らない可能性が高い。

恵さんはアイドルだ。

特別な人間を作ると、スキャンダルになったりいろんな問題が発生する。

アイドルと一般人の恋は、禁じられた恋と言ってもおかしくない。

それでも俺は、恵さんだけが好きなんだ。

そういえば、リィエンとウォンレイもリィエンの父親のせいで一度引き離されたんだっけ。

リィエンにとってそれが禁じられた恋だったから。

俺も、これからその禁じられた領域に踏み込もうとしている。

俺は、たとえその先に待っているのが光だろうと闇だろうと逃げはしない。

これからやらなければ一生後悔しそうな気がするからだ。

そして翌日、学校が終わって帰ろうとしたときに水野に呼び止められた。

「高嶺君、ちょっと良いかな?」

俺は水野に連れて行かれて体育館裏に行った。

水野が俺に言った。

「あの・・・、高嶺君・・・・、私・・・・高嶺君が・・・・好き。」

俺は突然水野に告白された。

これから俺は恵さんに告白しに行こうと思っていたときに。

俺の答えは1つだった。

「ごめん水野、俺、他に好きな人がいるから。」

そう言って、その場を立ち去った。

そのとき、水野の涙が俺には見えた。

水野の気持ちにはこたえられない。

俺が好きなのは恵さん1人だから。

俺はもう時間が無いと判断し、家に帰らずそのまま約束の場所へいくことを決めた。

俺は駆け足で向かう。

モチノキ町の駅のあたりを通ると、もう4時50分だった。

今日は俺の恋を邪魔するかのように、授業が長引いた。

歩いたらギリギリになってしまう、女の事を待たせるのは男としての恥だ。

そう思った俺は、自分の体力とは相談もなしに走った。

4時53分、俺は約束の場所に着いた。

しかし、そこにはもう恵さんの姿があった。

俺は恵さんに聞いてみた。

「恵さん、どうしてこんな早くに?」

恵さんが答えた。

「今日は、どうしても清麿君に言いたい事があって・・・。」

すると、恵さんの顔が一気に真っ赤になった。

恵さんは目を閉じて、恥ずかしさをこらえている様な口調で言った。

「私、清麿君が好きなの。」

恵さんに告白しようと思っていた俺が、恵さんの突然の告白に驚いた。

恵さんは目を開けたが、まだ恥ずかしそうだった。

「アイドルの私にとって、こんな事がいけない事だってわかってる。」

「清麿君に迷惑をかけてしまうかもしれない。」

「それでも、私は清麿君が好きなの。」

俺は恵さんに言った。

「迷惑なんて、気にしなくて良いです。」

「俺、どんな事があろうと恵さんと一緒なら乗り越えられそうな気がします。」

「だから、恵さんさえ良ければ付き合ってもらえますか?」

恵さんの目には涙が浮かんだ。

告白も、女の子の涙も今日2回目だ。

恵さんは、俺に抱きついてきて聞いた。

「本当に、私なんかで良いの?」

俺は静かに答える。

「恵さんじゃないと、ダメなんです。」

恵さんが俺に言った。

「じゃあ、これからヨロシクね。」

俺は返事を返す。

「こちらこそ。」

言葉を交し合うと、俺は恵さんと口付けた。

そして、これから俺と恵さんの幸せが始まる。

ちいさな、ほんの小さな幸せだけど・・・。

俺はこの時に知った。

恋をするのにアイドルや一般人は関係ない。

大切なのは、その人を思う心なんだって。

 

禁じられた恋

End

あとがき

完成しました、5000hit記念のゴンタさんからのリクエストのキヨメグの告白話。

なんか、最後のあたりの会話はよくありそうな話です。

どうも私は『キス』と言う単語をあまり使えない性格のようです。

それでは、またお会いしましょう。

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