一日女房

 

ある休日の朝、俺が目を覚ますとガッシュがいない。

いつもなら俺の部屋でうるさいくらい騒いでいるはずなのに・・・。

俺は階段を降りて台所へと向かう。

台所に入っても誰もいない。

「ったく、お袋もガッシュもどこいったんだよ?」

そういった後に、俺はテーブルの上の小さなメモを見つけた。

そこにはこう書かれていた。

『清麿へ』

『ガッシュちゃんとティオちゃんを連れて泊まりがけで遊園地に行ってきます。』

『悪いけどご飯は自分で作ってね。』

そのメモを見て俺は叫んだ。

「俺が飯作れねぇの知ってるはずだろ!!」

すると、家のインターホンが鳴った。

どうせ変なセールスだと思い俺はドアを開けて不機嫌そうに怒鳴った。

「お袋ならいませんけど!!」

すると、そこに立っていたのは恵さんだった。

「めっ、恵さん・・・///」

怒鳴ってしまった上にパジャマを着たままの姿だった俺は動揺するしかなかった。

「すいません・・・・・///」

動揺しながら考えた結果、とりあえず非礼を謝った。

恵さんが俺に言った。

「今日は久しぶりにオフだったんだけど、ティオもいなくて清麿君がちゃんと食べていけるか心配になって・・・。」

どうやらティオは今日のことを恵さんに話していたらしい。

「迷惑だったかな?」

恵さんの質問に俺は答えた。

「いえ、自分は料理が出来なくてどうしようか迷っていたところなので・・・。」

「とりあえず、立ち話はまずいので中でゆっくりと・・・。」

そう言うと俺は恵さんを家の中に入れた。

恵さんは早速台所へ向かった。

恵さんはエプロンを体に巻くと俺に言った。

「今日一日だけ清麿君のお嫁さん気分にさせてねv」

確かに、こういう風にしていると新婚早々の夫婦みたいだ。

ただ、まだ未成年の上、俺なんか14歳だから結婚なんて遠い未来の話だ。

だけど、そういう気分だけ味わうのも悪くないと思った。

俺はとりあえず着替えるために台所を離れる。

そういえば、恵さんは16歳で法律的にはもう結婚できる年齢だという事を改めて認識する。

着替え終えると俺は台所へと戻る。

朝食の用意をする恵さんの姿がとてもまぶしい。

普段のお袋もこんな感じなのだろうか?

ただ、好きという感情がある以上恵さんの方がお袋よりも輝いて見える。

朝食は日本人らしく焼き魚と味噌汁だ。

お袋はよくトースト一枚程度で済ませることがあるから妙に嬉しかった。

俺は恵さんと一緒に朝食を取る。

その時に恵さんに聞いた。

「恵さんもまだ朝食を取っていなかったんですか?」

恵さんが俺に答えた。

「うん、清麿君のほうが心配だったから・・・。」

自分のことよりも俺のことを意識してくれるのが嬉しい。

朝食を取り終えると俺は2人分の食器を流しへと運ぶ。

恵さんが俺に言った。

「あっ、それくらい私がやるのに・・・。」

俺は恵さんに言った。

「恵さんにばかり苦労はかけたくないので・・・。」

すると、恵さんが俺に言った。

「じゃあ、一緒にやろう・・・。」

俺は素直にうなずく。

同じ事をするだけでも誰かと一緒にやっているとかなり違う。

結構早く後片付けは終わった。

次は何をしようかと悩んでいたときに恵さんが言った。

「清麿君、せっかくだからどこかに出かけようよ。」

俺はそうすることに決めた。

こうやって2人で出かけるのも久しぶりだ。

行き先はモチノキ町の公園。

公園のベンチで座っていると若い年代のカップル達が大勢いた。

中ではキスしているカップルもいる。

俺が周りを見ていると恵さんの顔が近づく。

気がつくともう既に恵さんの唇が俺の唇と重なっていた。

俺はそんな恵さんの気持ちを素直に受け止める。

15秒間くらい経つと恵さんは唇を離した。

「どこか違うところに行こうよ。」

恵さんの言葉に誘われて俺たちは公園を離れる。

30分くらい歩いても他に行きたいところが見つからず一度家へと戻る。

恵さんと一緒に俺はテレビを見ている。

世間的に言う恋愛ドラマの時間だった。

しかも、ちょうど熱烈的なキスシーンだった。

そんな情景を見ていると、恵さんが俺につぶやいた。

「清麿君・・・、もう一回お願い・・・。」

俺は恵さんに言った。

「俺なんかでよければ何回でも・・・。」

再び向かい合い、恵さんと口付ける・・・。

とても甘く、吸い込まれそうな気分だ・・・。

俺の心は既に恵さんによって魅了されていた。

そして昼食を取り、時間はどんどん過ぎていく。

今はもう夕食の時間だった。

すると、突然電話が鳴った。

俺は電話を取るといつも通りに言う。

「もしもし?」

電話の向こうから聞きなれた女の子の声が聞こえた。

「もしもし、清麿?」

その声はまぎれもなくティオだった。

「ティオ、どうしたんだ?」

「お袋とガッシュはどうした?」

ティオが答えた。

「今ホテルでのんびりしているところ。」

「ガッシュは今清麿のお母さんと一緒にお風呂よ。」

「私は先にお風呂から上がって、こうやって電話してきたわけ。」

ある程度どういうことになっているか認識したときにティオが俺に聞いた。

「ところで清麿。」

「ちゃんと恵とラブラブしてる?」

その言葉により俺は赤面する。

「うっ、うるさい!!」

「もう切るぞ!!」

そういって俺は一方的に電話を切る。

台所へ行くと、もう夕飯の準備を終えた恵さんが待っていた。

「恵さん、待たせてしまってすいません・・・。」

俺がそう言うと、恵さんが俺に口付けてきた。

恵さんが唇を離すと俺に言った。

「これは、私を待たせたお返しv」

夕食の時間も楽しかった。

お互いに食べさせあいながら時には口付けたりした・・・。

まあ、ティオの言葉どおりになっていると言っても間違いないだろう・・・。

俺が風呂に入っていると体に恵さんが浴室に入ってきた。

裸足だがもちろん服はちゃんと着ている。

恵さんが俺に聞いた。

「清麿君、背中流してほしい?」

俺は黙ってうなずく。

俺の背中を恵さんが流してくれている。

新婚ほやほやの夫婦では多分これが定番なのだろう。

恵さんが背中を流し、俺はお礼を言う。

「ありがとう、恵さん。」

そして恵さんが入浴している間、再び電話が鳴った。

俺は電話を取るとティオの声が聞こえた。

「もう清麿、さっきはいきなり電話切ったりして・・・。」

俺はティオに謝った。

「悪かったな、ティオ。」

「おかげで、今日はとても楽しかった。」

ティオが俺に言った。

「恵と今夜は幸せにね♪」

俺はつぶやいて答えた。

「ぁぁ・・・」

今度はティオのほうから電話を切った。

すると、パジャマ姿の恵さんが出てきた。

「ティオから?」

恵さんの質問に俺は答えた。

「はい、今夜は幸せにと言ってました。」

恵さんは顔を赤くして言った。

「もう・・・、ティオったら・・・///」

俺は恵さんと一緒に寝室のベッドに入る。

恵さんが俺を抱きしめて言った。

「ねぇ・・・、清麿君・・・。」

「いつか、こんな事が毎日出来ると良いね・・・。」

俺は素直に答える。

「はい・・・。」

恵さんが俺の唇に恵さんの唇を重ねる。

今はこうしていられる時間は少ないけれど・・・。

いつの日か、毎日というわけには行かないけど今日のような日がたくさんあって欲しいと俺は思った。

そして、恵さんに抱きしめられながら俺は静かに眼を閉じる・・・。

幸せか・・・。

俺にはそう遠くない未来の話になるかもしれないな・・・。

 

一日女房

End

あとがき

キリ番70000hitのリクエストでクマさんより恵清2人っきりでかなり甘めというお題でした。

2人っきりはうまく行ったけど恵清にはちょっと自信なし。

途中で悩んで気分転換してようやく完成です。

とりあえず、甘くなったかどうかは皆さんの観点次第です。

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