モテル男の苦悩

 

今日、学校ではあることが話題になった。

山中が俺に話しかけてきた。

「なあ、高嶺はどう思う?」

いきなりの質問に俺はどう答えて良いかわからなかった。

俺は山中に聞いてみた。

「いきなりそんな事を言われてもわからねぇよ。」

「何についてどう思うのか言ってみろよ。」

すると、岩島が出てきて俺に言った。

「何って、今日は13日の金曜日じゃないか!!」

俺は13日の金曜日と聞いただけではよくわからなかった。

「今日が13日の金曜日だからどうだって言うんだよ?」

今度は金山が出てきて言った。

「13日の金曜日といえばジェイソンだろ。」

俺はようやくどういうことかを理解した。

「ああそうだな、だけどあれは映画の話だろ。」

すると岩島が言った。

「ふっふっふ、それじゃあ甘いよ高嶺君。」

「UFOみたいにこの世は何があるかわからないんだから。」

「もしかしたらジェイソンが実在するかも・・・。」

俺はそんな映画の話を信じるわけがなかった。

ただ、13という数字が不吉の象徴とされているのは知っていたが・・・。

山中が俺に言った。

「だからな、お前もジェイソンには気をつけろよ!!」

俺は山中に言った。

「馬鹿馬鹿しい、13という数字は不吉の象徴であって、『13日=ジェイソン』じゃない。」

どいつもこいつも映画の見すぎだと俺は思った。

放課後、俺が学校から帰ろうとすると、学校の前にリムジンが止まっていた。

俺が通り過ぎようとすると、中から人が出てきた。

それは間違いなくアポロだった。

アポロが俺に話しかけてきた。

「久しぶりだなぁ、清麿。」

俺もアポロに答えた。

「ああ、久しぶりだな・・・。」

少し気になったことがあったのでアポロに聞いてみた。

「ところでアポロ、どうして日本に?」

すると、アポロは俺に答えた。

「今日は13日の金曜日だからね、清麿がジェイソンに襲われないように守りにきたわけだ。」

俺はあきれた。

山中、岩島、金山ならともかく、アポロまでもがそんな事を信じていると思ったからだ。

アポロが俺に言った。

「家まで乗せてってあげるから乗りなよ。」

とりあえず俺は乗せてもらうことにした。

車の中で、俺はアポロに聞いた。

「アポロ、ジェイソンは本当にいるのか?」

アポロは答えた。

「さあね?」

俺はアポロに言った。

「いるかどうかもわからない物を信じるなよ!!」

それを聞いたアポロは俺に言った。

「ジェイソンはともかくとして、13という数字が不吉の象徴だという事は君も知っているだろ?」

「だから、ジェイソンに清麿が襲われないように守りに来たわけだ。」

アポロはジェイソンを信じているのか、信じていないのかが俺にはまったくわからなくなった。

すると、突然アポロのリムジンが止まった。

アポロが使用人に聞いた。

「おい、どうした、なぜ車を止める?」

すると、使用人が答えた。

「申し訳ございません。」

「急に黒猫が飛び出してきたもので・・・。」

そう言うと、使用人は再び車を動かした。

ようやく家に到着し、俺が車から降りるとカラスが電柱にとまっているのが見えた。

使用人はアポロに言った。

「では、また後でご連絡ください。」

そう言うと、リムジンが動き出してどこかへ行ってしまった。

今日は13日といい、黒猫といい、カラスといい、不吉な象徴だらけだ。

俺が家に入ると、ティオの靴があった。

そこに、赤っぽいピンク色で先のとがった靴もあった。

俺はこの靴に見覚えがある。

家の中にアポロがついてきた。

俺はアポロに言った。

「もう大丈夫だアポロ。」

「家の中にいれば安全だ。」

アポロが俺に言った。

「ダメだ!!いつ何が起こるかもわからないからな!!」

俺は二階の部屋に移動し、ドアを開けた。

すると、そこにはティオとガッシュとキャンチョメとフォルゴレがいた。

俺がティオに聞いた。

「ティオ、今日も恵さんは仕事かい?」

ティオが俺に答えた。

「うん、この近くで仕事してるから遊びに来たの。」

すると、フォルゴレがティオを押しのけて俺に言った。

「やあ、清麿。」

「今日は13日の金曜日だから君を守りにきたよ。」

俺はフォルゴレに言った。

「どうしてお前まで13日の金曜日だからっているんだよ!!」

それを聞いたフォルゴレは俺に言った。

「13日の金曜日といえばジェイソン!!」

「だから清麿がジェイソンに襲われないように守りに来たんだよ!!」

結局、どいつもこいつもジェイソンしか頭にないのかよ・・・。

すると、フォルゴレがアポロに聞いた。

「アポロじゃないか、君は何しに来たんだい?」

アポロがフォルゴレに答えた。

「何って、清麿の安全を守るために来たんだ。」

「今日が13日の金曜日だからね。」

フォルゴレとアポロがにらみ合う。

今にもけんかに発展しそうだった。

フォルゴレがアポロに言った。

「清麿を守るのは私で十分だ!!」

「君は即アメリカに帰れ!!」

それを聞いたアポロはフォルゴレに言った。

「君こそイタリアに帰れ!!」

「君は清麿より弱いんだ、一緒にいたって守れるはずないだろ!!」

フォルゴレがアポロに言い返した。

「君は魔物すらいないじゃないか!!」

「そんな事じゃあ清麿は守れない!!」

俺はその場を治めるためにアポロとフォルゴレに言った。

「やめるんだアポロ、フォルゴレ!!」

すると、フォルゴレとアポロが同時に俺に言った。

「大体だなぁ!!清麿がハッキリしないからいけないんだぞ!!」

俺はお前達のどちらにも守ってくれって言った覚えはないぞ・・・。

さらに2人は俺に聞いた。

「さあ!!僕(私)かフォルゴレ(アポロ)か?どちらに守ってもらう?」

俺は2人に言った。

「俺はどっちにも守ってもらうつもりはない!!」

しかし、それは火に油を注ぐどころの問題ではなかった。

俺は火にガソリンを注いでしまったのだ・・・。

フォルゴレとアポロの口喧嘩が本当のけんかに発展してしまった。

多分、勝ったほうが俺を守るつもりだろう・・・。

フォルゴレがアポロを突き飛ばした。

すると、フォルゴレは俺をベッドに押し倒して言った。

「さあ清麿、邪魔者はいなくなった。」

「これから私が君を守ってあげるよ。」

そう言うとフォルゴレは、俺のワイシャツからネクタイを外し、俺のワイシャツのボタンを外し始めた。

フォルゴレが俺のワイシャツのボタンの半分くらいを外すと、アポロがフォルゴレを掴んで投げ飛ばした。

もはや完全に戦争状態だった。

「フォルゴレ〜!!」

キャンチョメはフォルゴレに心配そうに駆け寄る。

俺が起き上がろうとすると、今度はアポロが俺を押し倒した。

そして、フォルゴレが外し損ねた残りのボタンを外していく。

ワイシャツのボタンは全て外れた。

すると、フォルゴレがアポロを俺から引き剥がそうとした。

アポロと一緒に俺はベッドの下に落ちた。

今度はアポロとフォルゴレが俺の腕を一本ずつ引っ張り始めた。

「清麿!!私と一緒のほうが良いぞ!!」

フォルゴレがそう言うとアポロも言った。

「そんな奴よりも僕のほうが安全だぞ!!」

俺は今にも腕が引き抜けそうだった。

すると、ガッシュとティオがアポロとフォルゴレを離した。

ガッシュが俺に聞いた。

「清麿、大丈夫か?」

俺はガッシュに答えた。

「ああ、大丈夫だ・・・。」

フォルゴレとアポロが立ち上がった。

俺は、その動きよりも早く本を取って言った。

「すまん、アポロ、フォルゴレ!!」

「ザケル!!」

ガッシュの口からザケルが飛び出し二人を直撃した。

俺はその瞬間にガッシュとティオに言った。

「すまん、俺はしばらく逃げ出す。」

そう言うと、俺は家から飛び出した。

もう外はとっくに暗くなっていた。

とりあえず俺は、フォルゴレとアポロによって外されたボタンを掛けなおす。

 

その頃、清麿宅では・・・。

「清麿が逃げたのは君のせいだ!!」

アポロとフォルゴレはまだ喧嘩している。

ただ、再び口喧嘩に戻ったが・・・。

フォルゴレがアポロに言った。

「なぁに、清麿なんか僕のファンの女の子に頼めばすぐに見つかる。」

「キャンチョメ、早速女の子達に電話だ!!」

「清麿の写真をファックスで送って手がかりにするぞ!!」

そう言うと、フォルゴレとキャンチョメは清麿の家の電話を借りにに階段を降りて行った。

すると、アポロがつぶやいた。

「その程度なら、僕にだって出来る。」

そう言うとアポロは、携帯を取り出して使用人に電話を掛ける。

すると、今度はティオが立ち上がった。

ガッシュがティオに聞いた。

「ティオ、どこかへ行くのか?」

ティオガアポロに聞こえないようにガッシュに行った。

「うん、清麿が可愛そうだからちょっと電話をしに外へね・・・。」

そう言うと、ティオは家の外へと駆けて行った。

 

俺はこれからどこへ行こうか迷った。

とりあえず、山中の家へ行く事にした。

運がよければ一晩泊めてもらえるかもしれない。

そう期待して行くと、山中の家の前で黒服を着た男に話しかけられた。

「社長がお待ちです。」

「すぐに帰宅をお願いします。」

それを聞いた俺は再び駆け出して狭い路地を通って逃げた。

 

清麿宅・・・。

アポロが携帯で話している。

「やはり逃げられたか・・・。」

フォルゴレがアポロに言った。

「はっはっは、所詮君の部下じゃ捕まえられないよ。」

「こっちは日本の女の子のほとんどが味方だ、清麿なんてすぐに捕まる。」

アポロがフォルゴレに言い返した。

「清麿の事は調べ上げてある。」

「だから清麿がどこへ行くのか見当はつく、そこで捕まえれば良い。」

「そっちこそ女の子の力だけじゃあ捕まえられないよ。」

「大切なのは情報なんだよ。」

口喧嘩を聞きながら、ティオは小声でつぶやいた。

(お願い・・・、早く見つけて・・・。)

 

俺はその後も色んな所を回ってみた。

しかし、クラスメートの家は完全にアポロの使用人にマークされている。

しかも、そこら辺をうろついているとフォルゴレのファンの女の子に追いかけられる。

どちらも手ごわい相手だ。

アポロは俺の情報を元に行き先を予想しているし、フォルゴレは数で攻めてくる。

俺は逃げ道を絶たれかけている。

ある意味こういう事の方がずっと不吉だと俺は感じた。

今日が13日という事だけあり、これが俺にとっての不幸だった。

フォルゴレのファンの女の子に再び見つかった。

俺は必死で逃げ回り、何とか振り切った。

しかし、俺の体力はもう限界に近づいていた。

行くところもなく、これから俺はどうすれば良いんだろう?

そう悩んでいたときに、1人の女の子の声が聞こえた。

「見つけた。」

俺は、フォルゴレのファンの女の子だと思い逃げ出そうとした。

すると、声の主は俺の腕を掴んだ。

もう完全に逃げられないと俺は判断した。

俺は顔を上げると声の主の顔を見た。

それは、フォルゴレのファンの俺の知らない女の子の顔ではなく、綺麗な恵さんの顔だった。

恵さんは俺に言った。

「ティオから大体の事情は聞いているわ、とりあえず一緒に来て。」

俺は恵さんの言う通りについて行った。

着いた先にあったものはホテルだった。

恵さんが俺に言った。

「しばらくこの近くでロケがあるからここで泊まる予定だったの。」

「このホテルならアポロさんの会社とは関係ないから安全よ。」

すると、恵さんの携帯が鳴り出した。

恵さんは携帯を取った。

「もしもし?」

電話の向こうでは何を言っているかわからなかったが、電話の主が誰なのかは理解できた。

「大丈夫よ、さっき見つけて今ホテルの入り口にいるわ。」

「今夜は絶対に守って見せるから安心して。」

きっとティオと話しているのだろう。

今度、ティオにお礼を言っておかなきゃいけないな。

恵さんは電話を切ると俺に言った。

「部屋に案内するから着いてきて。」

俺は恵さんと一緒に歩き出した。

 

清麿宅・・・。

アポロは誰かに怒鳴っていた。

「清麿が見つからない!!」

「そんなはずはない、清麿のクラスメイトの家の周辺を徹底的に調べるんだ!!」

フォルゴレがアポロに言った。

「はっはっは、情報なんて何の役にも立たない。」

「どうせ、君が清麿のクラスメイトの家を見張っている事を知って逃げたんだろう。」

「清麿は私のファンの女の子が街中を探して必ず見つけ出す。」

「だから君はおとなしく手を引きたまえ!!」

ガッシュがティオにつぶやいた。

「このままでは清麿が危ないのだ・・・。」

ティオがガッシュにつぶやいた。

「大丈夫よガッシュ、恵に頼んで清麿を助けてもらったから・・・。」

すると、安心したせいかガッシュは大声で言ってしまった。

「おお、恵殿と一緒なら安心なのだ!!」

その言葉が2人に聞こえてしまった。

フォルゴレが叫んだ。

「あの2人は仲が良い、だから清麿はあんなことやこんなことをされても平気なはずだ。」

フォルゴレは何かを想像している・・・。

そしてフォルゴレはキャンチョメに言った。

「私の清麿が危ない!!キャンチョメ、私たちも探しに行くぞ!!」

そう言うと、フォルゴレは家を飛び出した。

アポロも叫んだ。

「いつから君のものになった!!それは良いとして、僕も早く清麿を探しに行かないと!!」

そう言うと、アポロも家を飛び出した。

飛び出していった3人を見て、ティオはガッシュの首を絞めて言った。

「ガッシュ!!あんたのせいで恵まで危なくなっちゃったじゃない!!」

ガッシュは苦しそうな声で言った。

「ティ・・・オ、大っ・・・丈夫な・・・のだ・・・、恵殿と・・・、清・・・麿のいる場所を・・・、あの・・・3人は知らないのだ・・・。」

ティオはガッシュから手を離して言った。

「恵・・・、気をつけてね・・・。」

 

部屋についた俺は、とりあえず部屋にあった椅子に座った。

恵さんは俺に言った。

「シャワー浴びてくるから、少しのんびりしていて・・・。」

そう言うと、恵さんはシャワー室へと向かって行った。

俺は、今日一日の事を思い出した。

思えば、学校で13日の金曜日という事が話題になって、それからアポロが現れたりフォルゴレが現れたりした。

フォルゴレとアポロは俺をジェイソンから守るなんて言って来た。

だけど2人がけんかになって、俺の争奪戦が始まった。

それで2人から逃げ出して、恵さんに助けてもらったんだ。

恵さんも、ティオからこの事を知らされて助けに来てくれたんだよな・・・。

結局あの2人のせいで俺が不幸じゃねぇかよ・・・。

それから10分くらい経つと、突然部屋のドアが開いた。

恵さんが鍵を閉め忘れたみたいだけど・・・。

すると、黒服の男が入ってきた。

 

その頃、ホテルの入り口付近・・・。

フォルゴレがキャンチョメに言った。

「ここに清麿が入っていったという情報が入った。」

「突入するぞ、キャンチョメ!!」

すると、アポロが出てきて言った。

「無駄だよ。」

「既に僕の使用人が、清麿のいるとされる部屋まで清麿を連れに行っている。」

「つまり、僕の勝ちだ!!」

 

俺は窓のほうへ寄った。

黒服の男が俺に言った。

「社長がお待ちなので、あなたを社長の元へ連れて行きます。」

すると、バスルームの方から恵さんが出てきた。

バスローブを着て首からタオルを下げていた。

恵さんが黒服の男を見て叫んだ。

「きゃあぁぁぁぁぁ〜〜〜!!!」

すると、ホテルの従業員が来て恵さんに聞いた。

「お客様どうかしましたか?」

恵さんが従業員に言った。

「その黒い服の男が、勝手に進入してきたんです。」

「きっと変質者か何かよ!!」

従業員が黒服の男をつれて部屋の外へと出て行った。

従業員が恵さんに言った。

「このような男が来るといけないので、部屋のロックはきちんとして置いてください。」

恵さんは返事を返す。

「はい。」

従業員が男を連れ去ると、恵さんはドアを閉めてロックを掛けた。

 

ホテルの入り口付近では・・・。

「何!!変質者と間違われて追い出された!!」

そのアポロの言葉を聞いてフォルゴレが言った。

「相手は恵だ、一筋縄でいく相手ではないぞ!!」

すると、アポロが携帯で言った。

「もういい、僕が直接行く!!」

アポロはホテルの中へと入っていく。

フォルゴレも負けじと中へ入っていった。

 

恵さんが俺に言った。

「清麿君もシャワー浴びてきなよ。」

「ここは私が見ておいてあげるから・・・。」

俺は恵さんにお礼を言った。

「ありがとう恵さん。」

俺はシャワーを浴びにバスルームへと入る。

シャワーを浴びながら俺は、俺と恵さんのいる空間をよく考えてみた。

部屋にベッドは一個しかなかったし、ロックが掛けてあるから誰も入れない。

今夜は恵さんと一緒のベッドで寝ることになりそうだ。

シャワーを浴び終えると、俺は服を着て部屋へと戻った。

恵さんが俺に聞いた。

「清麿君、お腹空いてる?」

「良かったら、何か頼んであげるけど・・・。」

俺は恵さんに言った。

「大丈夫です。」

「それに、さっきみたいにアポロの使用人が入ってくるといけないので・・・。」

俺は警戒心+かくまって貰っている身なので、あまり恵さんに迷惑を掛けたくなかった。

恵さんは、ホテルの窓から夜景を見ながら言った。

「こんな綺麗な夜景を見ながら、清麿君と一夜を過ごせるなんて嬉しいな・・・。」

俺は顔を赤らめる。

そういえば、この部屋には俺と恵さんしかいない。

恵さんはベッドの上に腰掛けて言った。

「とりあえず、座って。」

俺は言われるがままに座る。

すると、恵さんは俺の唇と自分の唇を重ねた。

突然だったので、目を閉じる暇もなかった。

何が起こっているのか認識した後、俺も静かに眼を閉じる。

俺は、少しだけ体の力を抜いて恵さんの体を受け止める。

その際に、俺の体は恵さんの体ごとベッドに倒れこんでしまった。

「ごっ、ごめん、清麿君。」

謝る恵さんに俺は言った。

「気にしないでください、今日で3度目なのでもう慣れました。」

アポロとフォルゴレ、そして恵さん。

事実上、俺は今日3回押し倒された事になる。

だけど、フォルゴレやアポロのときと違って、恵さんに押し倒されるのだけは気を許せた。

大好きな人だから・・・、大切な人だから・・・。

恵さんが俺に聞いた。

「もう一回、良いかな?」

俺は黙ってうなずく。

恵さんは、押し倒した状態の俺の体の上に乗り、俺と唇を重ねる。

さっきと違い、今度は重なる前に目を閉じる事が出来た。

俺は恵さんをそっと抱きしめる。

恵さんの唇からは、とても暖かい感覚が伝わってくる。

ティオが今日のことを恵さんに話していなければ、こんな気分にはなれなかっただろう・・・。

しばらくすると、恵さんは唇を離して聞いた。

「そろそろ、寝ようか?」

午後の8時45分。

寝るには少し早かったが、他にする事もなかった。

「はい。」

俺と恵さんはベッドの中に入る。

恵さんは、俺を抱きしめて言った。

「清麿君は、今日一日中私が守ってあげるって決めたから。」

俺は恵さんにお礼を言った。

「恵さん、ありがとう。」

それを聞いた恵さんは俺に言った。

「気にしないで。」

「それに私、もっとこのままでいたいから・・・。」

恵さんの体温が俺に伝わってくる。

きっとそれは恵さんに対しても同じなのだろう・・・。

俺も、今日一日中はこうしていたかった。

こうやって、恵さんに抱かれながら恵さんのそばにいたかった。

そして、俺と恵さんは静かに眠りについた・・・。

お互いの鼓動、体温を感じながら・・・。

 

その頃、清麿と恵のいる部屋の前・・・。

「清麿〜、恵と何をやっている?」

「まさか、あんな事やこんな事を・・・。」

フォルゴレは、頭の中で変な妄想を広げていた。

「おい、出てこい清麿!!」

アポロは清麿を叫びながら呼んでいる。

もちろん、他の部屋にいる人にとって迷惑だったが・・・。

フォルゴレがアポロに言った。

「ダメだ、清麿は完全に恵に取られてしまった・・・。」

アポロもフォルゴレに言った。

「ああ、そのようだな・・・。」

すると、フォルゴレがアポロに言った。

「こうなったら、一緒に巷の女の子達をナンパしよう!!」

それを聞いたアポロはフォルゴレに言った。

「ああ、もうヤケクソだ〜!!」

そして、キャンチョメを連れてフォルゴレとアポロはホテルから出て行った。

これで良いのだろう・・・。

今、清麿と恵の幸せな時間を邪魔してはいけないのだから・・・。

 

モテル男の苦悩

End

あとがき

キリ番55555hit記念に「恵がアポロとフォルゴレに襲われている清麿を助けてホテルに逃げて二人で甘い夜みたいなのを・・・」

という事でdannkuさんからのリクエストでした。

ご丁寧に、アポ清・フォル清まじった清恵(恵清)という風に略していただきました。

ただ、逃亡とアポロ達を書きすぎてしまったので今回は清恵要素が少ないかもしれません。

とりあえず、アポロファンとフォルゴレファンの皆様すいませんでした。(謝罪)

ちなみに、13日の金曜日を利用したのは、このキリ番小説が13作品目だったためです。

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