
心のやすらぎ
ある日、俺が少し風邪気味の時だった。
俺の元に一本の電話が入る。
俺は電話に出た。
「もしもし?」
すると、電話の向こうから綺麗な声が聞こえてきた。
「もしもし、清麿君?」
その声は恵さんだった。
俺は恵さんに聞いた。
「恵さん、何か用ですか?」
恵さんは俺に言った。
「今日の午後からだけど、もし清麿君さえ良ければ、一緒にどこかに行きたいの。」
俺は恵さんに言った。
「良いですよ、特に予定もありませんし。」
恵さんが嬉しそうに俺に言った。
「ありがとう。」
「清麿君はどこか行きたいところある?」
俺は、少し考えた後に恵さんに言った。
「じゃあ、たまには恵さんのいる町に行ってみたいです。」
それを聞いた恵さんは、少し間を置いてから言った。
「わかったわ、今日の2時にこっちの駅で待ってるから。」
そして電話は切れた。
俺は、風邪気味であることさえ忘れ、出かける準備をした。
そして、12時半発の電車に乗り、1時間ほど電車に乗って移動した。
待ち合わせの時間まではまだ30分も時間があったが、俺はそのまま待つことにした。
恵さんは2時に待っているといったから、それより少し早めに来るだろう。
こういう事は、男が待たせてはいけないということがわかっているから。
15分ほど待っていると、恵さんがやって来た。
恵さんが俺に言った。
「ごめんね、待たせちゃって。」
俺は恵さんに言った。
「別に良いですよ、俺が早く来すぎただけなので。」
「それに、こういう事では女の子を待たせるのは男じゃないというのが道理ですから。」
恵さんは、俺の腕と自分の腕を組んで言った。
「じゃあ、これから町を案内するね。」
こうして、俺と恵さんのデートが始まる。
商店街とかは別として、モチノキ町では見られないようなものがあったりした。
こうやって見てみると、世界が広いことを俺は改めて知る。
映画館の前を通ると、俺は恵さんに聞いた。
「映画でも見ませんか?」
恵さんは俺に言った。
「うん・・・、いいよv」
なんだか、さっきより少し恵さんの態度が変わったような?
俺と恵さんはSF映画を見ることにした。
こういう感じの映画もなかなか面白かったりする。
映画の途中で俺は恵さんに聞いた。
「内容的にどう思いますか?」
恵さんは、少し考えた後に返事をくれた。
「結構面白いよ、こういうのを考えつく事のできる人ってすごいよね。」
映画が終わると、大体午後の4時半ごろだった。
俺は恵さんに言った。
「なんだか、楽しい時間はどんどん過ぎていってしまいますよね。」
「俺は、もっと恵さんの近くにいたいんですけど。」
恵さんも俺に言った。
「うん・・・、私ももっと清麿君のそばにいたい。」
俺は、恵さんの肩に手を置いて言った。
「でも、今は僅かな時間でも良いので楽しみましょう。」
恵さんは、元気がなさそうにうなずいて言った。
「うん・・・。」
やっぱり今日の恵さんは少しおかしいかもしれない。
俺と恵さんは、喫茶店に入った。
コーヒーを飲みながら恵さんに聞いた。
「恵さん、どうかしたんですか?」
「さっきから、元気がないような気がしますけど・・・。」
恵さんは俺に言った。
「実はね、昨日怖い夢を見たの・・・。」
「清麿君に別れを告げられて、『お前なんかいらない』なんて言われて・・・。」
「こうしている度に、その夢の事を思い出しちゃって・・・。」
「それで、とても怖かったの・・・。」
それを聞いた俺は、恵さんに口付けた。
10秒ほどすると、俺は唇を離して言った。
「怖がらなくて良いです。」
「俺は、恵さんの事を嫌いになったりしませんから。」
恵さんは、涙を流しながら言った。
「うん・・・、ありがとう・・・。」
喫茶店から出ると、外では雪が降っていることに気がついた。
俺と恵さんは2人だけで雪道を歩いている。
そして、さっきまでよりも恵さんを近くに感じる。
すると、その時だった。
俺の体が異常なほどに熱くなっていくのを感じる。
風邪気味だった体が、次第に悪くなっていくのがよくわかる。
体は熱く、頭は重く、俺はその場で倒れてしまった。
意識が朦朧としている。
恵さんが俺を呼ぶ声が何度も聞こえる。
「しっかりして清麿君!!清麿君!!」
だけど、まったく口が動かない。
指一本さえ動かせない。
次第に、俺の意識は途絶えて行った。
俺が目を覚ますと、そこは恵さんのいるマンションの部屋の恵さんのベッドの中だった。
恵さんが俺の顔を覗き込んで言った。
「よかった。」
「さっき、熱を測ったら38度9分もあったんだもん。」
俺は恵さんに謝った。
「恵さんすいません。」
「俺のせいで、せっかくのデートが・・・。」
すると、恵さんが俺に口付けた。
恵さんは、唇を離してから俺に言った。
「気にしないで、清麿君と一緒に出かけることができただけで良かったから。」
「それに、私の方からも謝っておかないといけないよね。」
「だって、清麿君は無理をしてまで来てくれたんだもん。」
俺は恵さんに言った。
「じゃあ、お互い様という事で片付けましょう。」
俺と恵さんの心のやすらぎ。
それはきっと、お互いが近くにいられることで実現できると思う。
俺が恵さんを見てみると、既にパジャマを着ていた。
俺は恵さんに聞いてみた。
「恵さん、今何時ですか?」
「それと、ティオはどうしたんですか?」
恵さんが答えた。
「今は夜の9時だよ、清麿君を寝かせた後に、お風呂に入って、その後からずっと看病してたの。」
「ティオは、ガッシュ君のところに遊びに行ってから、帰ってきてないの。」
「さっき、清麿君の家に電話をかけたら、『2人のラブラブを邪魔するといけないから今日は帰らないから。』って言ってたわ。」
俺は恵さんに言った。
「じゃあ、今日のデートの残りは、このマンションという事で良いですね。」
恵さんが俺に言った。
「うん、ちょっと遅いけど夕飯持ってくるね。」
しばらく待っていると、恵さんがおかゆを持ってきてくれた。
恵さんはおかゆをレンゲで掬い取って言った。
「はい清麿君、あ〜んしてv」
俺は、言われるがままに口を開ける。
恵さんが俺の口の中におかゆを入れる。
少し熱いけど、とてもおいしかった。
恵さんは俺に言った。
「食べ終わったら、今日はもう寝ようね。」
それを聞いた俺は恵さんに言った。
「ちゃんと歯を磨いてからですよ。」
俺は、恵さんにおかゆを食べさせてもらいながら、俺自身も恵さんに食べさせてあげた。
恵さんが歯を磨いた後、俺も歯を磨く事にした。
ただ、恵さんと同じ歯ブラシで磨く羽目になったが・・・。
恵さんが、俺の横に入ってくる。
俺は恵さんに言った。
「恵さん、下手をすると風邪がうつりますよ。」
恵さんが俺に言い返した。
「その時は、私と一緒に仲良くしようねv」
恵さんは、風邪をひく事をまるで恐れていないようだ。
いや、それどころか、俺と一緒に風邪をひきたいと思っているくらいだ。
俺は嫌味のように恵さんに言った。
「だったら、仕事が出来なくなるくらい悪い風邪をひかせてあげますよ。」
そう言うと俺は、恵さんを抱きしめた。
恵さんが俺に言った。
「大好きだよv」
俺も恵さんに言った。
「俺も、恵さんが大好きです。」
こうして、俺のデートは恵さんと同じベッドの中で終了した。
心のやすらぎ
End
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あとがき
祝50000hitという事で、鎌霧所ーさんより、清麿と恵だけのデートというお題でのリクエストでした。
デートというより清恵を密着させるだけのように感じてしまいました。
とりあえず、それなりにデートっぽくなったので、その点は多分大丈夫かと・・・。
50000カウント心から感謝しています。