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2人だけの時間

 

「ねぇティオ、どれにしたらいいと思う?」

これから私は、彼氏とデートにいきますが、どうしても何を着ればいいかが悩みます。

何と言っても、今日は彼氏の清麿君と2人っきりの初デートなのです。

今までも、私と清麿君は何度もデートをしましたが、それは、いつもティオとガッシュ君も含めたダブルデート。

そのため、あまり私たち2人だけで自由に過ごせる時間は非常に少ないです。

ティオは、私にこう言いました。

「私はガッシュと遊んでいるから、恵は清麿と思いっきりラブラブしてきなさい。」

あまりのティオの言葉に思わず言い返しました。

「そっちこそ、ガッシュ君とうまくやりなさいよ。」

ティオは少し赤くなりましたが、話を変えて私に言いました。

「恵はアイドルだから何を着ても似合うわよ、清麿だってそこまでは気にしないわよ。」

そう言われても、ずいぶん服の選択には悩んで、最終的に清麿君の前でよく着ている服にしました。

家を出ようとしたときにティオに呼び止められました。

「恵、これを忘れちゃダメよ。」

ティオの手には白い帽子と、色眼鏡がありました。

「あっ、ごめんティオ。」

私はデートに行くにせよ、アイドルだという事を隠さないといけない事を忘れていました。

忘れ物を受け取り、私は家を出ました。

最も、今から待ち合わせ場所に行くと、待ち合わせ時間の30分も早くついちゃうけれど。

待ち合わせ場所は、モチノキ町の駅から徒歩で5分くらいの映画館。

最初に映画を見て、その後モチノキ町の中をいろいろと回る予定です。

電車にあおられながら私は思いました。

(こんな変装くらい、清麿君なら見破れるよね・・・・多分。)

清麿君が、私かどうかちゃんと気づいてくれるか少し不安でした。

モチノキ町の駅から5分ほど歩き、映画館に着きました。

約束よりも30分も早くついてしまったけど、その分ドキドキしながら清麿君を待てる。

そう思っていたとき、突然男の人に肩をつかまれました。

その人は、黒いキャップをかぶっていてサングラスをかけていました。

「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

驚きのあまり、悲鳴をあげてその人を投げ飛ばしてしまいました。

すると、その人がサングラスをはずして言いました。

「痛いなぁ、いきなり何するんですか?」

私は、その声とサングラスの下の顔を見て驚きました。

何と言っても、その素顔が清麿君だったのだから。

私は彼に言いました。

「だけど清麿君、いきなり肩つかまれたら普通驚くよ。」

彼は私に言い返してきました。

「それはそうですけど、いきなり投げ飛ばすというのはひどいですよ。」

とりあえず、私は素直に謝りました。

「ごめんね、清麿君。」

すると清麿君は、私に軽く口付けてきた。

「これが慰謝料代わりですよ。」

清麿君は携帯の時計を見て私に言いました。

「あっ、そろそろ映画館の中に入ったほうが良いな。」

私は、清麿君に手を引かれながら、映画館の中に入って行きました。

清麿君が、私にどの映画を見たいか聞いてきたので。

ホラー映画、と答えました。

私はあまり得意なほうじゃないけど、いざとなったら清麿君に抱きつけば良いからこの映画を選びました。

でも、このことは清麿君には秘密だけどね。

映画が始まると、ドキドキハラハラのような状態で、怖いようなシーンが何度も出てきました。

怖いシーンがある度に、私は清麿君に抱きつきました。

清麿君は何度も。

「大丈夫ですか?」

と聞いてくるけど、私はその度に。

「清麿君がいるから平気。」

と言って、清麿君に心配をかけないようにしている。

映画が終わった時に、私は清麿君に聞いてみた。

「そういえば清麿君、どうして清麿君まで変装しているの?」

清麿君が理由を言おうとしたところで、2人の女の子が清麿君に近寄って1人の子の方が清麿君に話しかけました。

「あの〜、あなたどこかでお会いした事ありますか?」

清麿君は、まるで自分の正体をばらさない様に答えました。

「さあ、他人の空似じゃないんですか?」

女の子が清麿君に言いました。

「どうもすいませんでした。」

そう言うと女の子達は去っていきました。

清麿君が私に言いました。

「これが変装した理由です。」

私は、清麿君が知り合いに顔を見られたらまずいと思って変装をしているんだと気づいた。

ただでさえ私はアイドルという大きな存在で、それがデートをしているとなると、清麿君もいろいろと気を使ってくれていると思いました。

そう思うと、清麿君に言いました。

「お弁当作ってきたんだけど、すぐそこにベンチがあるから食べない?」

清麿君は断る様子は全く無いような口調で。

「良いですよ。」

と言ってきました。

私はベンチに座って、一生懸命作ったお弁当の包みを取り出した。

清麿君もお弁当の包みのようなものを取り出しました。

清麿君は私に言いました。

「これ、俺が何度も失敗して作ったものなんです、俺家事は苦手なほうですから。」

清麿君がお弁当箱を開けたときに、思わずその中の1つを味見してみました。

その感想は、無意識のうちに私の口から飛び出しました。

「味はまあまあだけど、盛り付けをもうちょっと丁寧にやってね。」

清麿君はやられたような顔をして。

「はい。」

と答えました。

お弁当も食べ終わって、いよいよモチノキ町まわりが始まりました。

最初は公園につれてってもらいました。

ここで、清麿君は初めて千年前の魔物と戦った。

清麿君もその事を思い出したように私に言いました。

「あの時、恵さんとティオが来てくれなかったら、俺はガッシュと別れていたかもしれません。」

「だから、あのときの恵さんたちにはとても感謝しています。」

私は清麿君に言いました。

「仲間だから助けるのは当たり前だよ。」

しばらく公園の中でお互いの辛さや楽しい事を語り合っていると、見慣れたような2つの影がありました。

それはガッシュ君とティオの影。

私と清麿君は2人だけの時間を奪われたくなかったので、公園を立ち去りました。

そう、今日は私と清麿君の2人だけの時間。

清麿君と2人だけの初デート。

だけど、この時間はいつまでも続かない。

清麿君には学校があるし、私にはアイドルという仕事もある。

それでも、今の時間だけはとても大切な思い出にしたい。

その思いが、私と清麿君の時間のタイムリミットを忘れさせました。

町の中を回っていると、気づいた頃にはもう夜の7時。

私は、そろそろ帰らないといけない事に気づきました。

短かったけど、今日という日はとても楽しかった。

その時、急に雨が降り出した。

すると、清麿君がリュックの中から折りたたみ傘を出して言いました。

「この傘の中に入って、駅まで送っていきますから。」

私はその言葉に甘えるように、傘の中に入りました。

いつの小さい傘の中に、私と清麿君がいる。

駅にたどり着くと、私は別れの挨拶代わりに清麿君の唇に自分の唇を重ねました。

清麿君は、それに答えるように目を閉じて私を強く抱きしめてくれました。

清麿君が、私を抱きしめているから傘は彼の手には握られていない。

私と清麿君は、今は雨に濡れているけど別に構わない。

こうしている時間だけでも、小さな幸せを感じるから。

1分ほどたった頃だろうか、清麿君の唇が私の唇から離れていきました。

そして清麿君は自分の着ていた上着を私にかけてくれて、傘を拾って私に渡して言いました。

「これ以上濡れたら風邪を引きますから、これを持って行って下さい。」

上着からは、清麿君の温もりを感じる。

私は電車に乗って清麿君に手を振った。

清麿君は微笑んで手を振り返してきてくれました。

そうして私の楽しい時間は終わりを告げました。

 

2人だけの時間

End

 

あとがき

キリ番500hitの記念にトークさんからリクエストです。

「キヨメグ初デート」というテーマで、清恵そのものの初デートではなく2人だけの初デートという事で描きました。

恵視点は初めてだったので、うまくできるか心配でしたが、それなりの結果にはなりました。

 

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